家づくり家づくりの「知っ得」情報5

室内環境(音)

音対策の必要性

  • 最近の住宅は密閉性が高く静かな反面、室内の響きが長い。
  • 音環境により育児(特に子供の泣き声)に関するストレスが変わる。そのため望ましい残響(部屋の響き)が求められる。
  • 学校施設の音環境でも騒音の防止、諸室間の遮音性、室内における響きなどについて音響的な配慮がアカデミックスタンダードに。
【図】高気密・高断熱住宅では外部騒音も入りづらい

高気密・高断熱は遮音性能も高める

室内が静かになり、外部騒音から解放されるはず

ところが意外な問題が発生

  • エアコンの運転音がうるさくて眠れない
  • 赤ん坊の声が響いてイライラする
  • ペットの鳴き声が響いてうるさい

快適さを得るには音対策が必要

防音は「遮音」「吸音」「制振・防振」を含む言葉です。

【図】防音は、「遮音」、「吸音」、「制振・防振」を含む言葉
遮音
音のエネルギーを壁によって遮り、壁の背後へ抜ける音を小さくすること。
吸音
音のエネルギーを吸音材で吸収させて、音の響きを短かくすること。吸音を使って室内の響きを調節することを「調音」という。
制振
振動を起こさないようにすること。
防振
振動を他に伝えないようにすること。

音の単位 「Hz(ヘルツ)」と「dB(デシベル)」

「Hz(ヘルツ)」

音は1秒間で340m震えながら進みます。その間に空気が震えた回数を周波数といい、「Hz(ヘルツ)」という単位で表します。

  • 男性の声:500Hz程度
  • 女性の声:600~700Hz程度
  • ピアノ:30~4100Hz
  • トランペット:190~990Hz
  • 人間:85~1100Hz
  • イルカ:7000~120000Hz
  • 人間が聴こえる範囲(可聴域)は、20~20000Hz
  • 人間が最もよく聞こえる周波数は、500~1000Hz

「dB(デシベル)」

音の大きさの単位です。この数値が大きいほど耳には大きな音で聞こえます。

人間の声で例えると、

  • 大きな話し声:70dB
  • 普通の話し声:60dB
  • 小さな話し声:50dB

感覚としては、10dB大きくなると、音量が倍の大きさになったと感じます。

音の伝わり方

音の伝わり方には2パターンあります。伝わり方によって対策方法が変わります。

1. 空気伝搬音

空気を伝わって聞こえてくる音(人の話し声、ピアノの音、テレビの音など)

対策方法:遮音

2. 固体伝搬音

床・壁などの固体を伝わって聞こえてくる音(機械の振動音、上下階の足音、ドラムの音、上階で物を落とした音など)

対策方法:制振・防振

空気伝搬音の対策:遮音

  • 床・壁・天井の重量をアップする
  • 床・壁・天井・窓を複重にする
同じ材料を2倍の重量(2重張り)にしても、遮音性能は約5dBしか上がらない。
厚くなるので薄く重い建材が必要。重すぎると施工できない。そこで多重壁が有効(太鼓現象に注意)。
隙間をなくす
遮音コーキングなどで隙間を埋める。
コインシデンス効果を防ぐ(共振現象)
同じ素材・大きさ・厚みなら共鳴(共振)するので、素材あるいは厚みを変える。

【式】音源の音量[dB](入射音)- 遮音性能[dB] = 外に漏れる音[dB](透過音)

楽器など人の声ホン =dB人為的な音自然の音
トランペット, ドラム(プロ)叫び声(5cm)120ジェット機(200m)近所に落雷
ドラム(アマ)叫び声(30cm)110ジェット機(600m)犬の鳴き声(1m)
ピアノ(プロ), カラオケ若者のくしゃみ100地下鉄構内庭先の犬の声
ピアノ(アマ), ステレオ(マニア)怒鳴り声90地下鉄車内滝の近く
プリンター大きな咳払い80パチンコ店近所の犬の声
テレビかなり大きな声70新幹線車内蝉時雨
これ以下だと苦情は少なくなります
テレビ普通の声60水洗便所の音夕立
ラジオ小さい声50郊外住宅地(昼)木々のざわめき
畳のすり足, 鉛筆の音囁き声, 荒い鼻息40住宅の居間, 都心住宅地(深夜)しとしとと降る雨, やぶ蚊の羽音
衣ずれの音, 鉛筆の音(1m)小さな囁き声30オーディトリアム内, 郊外住宅地(深夜)落葉の音

固体伝搬音の対策:制振・防振

床に衝撃が加わって発生する音を「床衝撃音」といいます。

  • 軽量床衝撃音(LL:軽くて硬い感じの音
  • 重量床衝撃音(LH:重くて鈍い感じの音

※L値は数字が小さいほど遮音性能が良い(下階に聞こえる音が小さい)。

図)躯体による床衝撃音の伝わり方の違い

【図】躯体による床衝撃音の伝わり方の違い:床衝撃音は建物の構造や床仕上材の種類などによって伝わり方が異なる。

【事例】2階の歩行音を1階の天井で防音したい

1階の天井で対策してもほとんど効果はありません。2階の床で対策しましょう。ただし、木造であれば空気音も小さくするために、質量と防振効果を併せ持った建材が必要です。

2階の歩行者や椅子を引く音などは、固体伝搬音です。この振動エネルギーは階下の天井・壁・床に伝わっていき、そこで建材を震わせて音となって放出します。従って、階下の天井を対策しても壁や床から音が放出されればほとんど効果が得られないことも多々あります。また、防振部材は外に洩れる振動エネルギーを減らすように設計されているので、逆の場合は効果が小さくなります。

【事例】2階の生活音を小さくしたいので遮音シートを施工したい

話し声などの空気音にはわずかに効果がありますが、歩行音などの固体伝搬音にはほとんど効果がありません。遮音シートには防振能力がないためです。

遮音シートの面密度は2kg/m2なので、遮音性能の改善は質量増ではなく隙間がなくなることやコインシデンス効果の改善による効果のみです。